奈良時代には抹香を線上に敷き、香が燃える速さで時間をみる「香盤時計」として使っていたそう。香りとともに時間を知ることができる粋な伝統を現代ではなかなか目にすることはできません。

”香煙を楽しむ”日本の古き良き文化を日々の中でも気軽に味わえる抹香セット。ゆらゆらと流れている煙を眺めていると、そっと心が撫でられているような感覚を覚えます。

ヒノキ科ショウナンボク属の常緑高木である「梢楠木」は、その独特の美しい香りから「香木」とも呼ばれ、彫刻や高級家具の材として重用されてきたそう。

イネ科の「香茅」はレモングラスのこと。それぞれ個性のある2種類は調合したり、そのまま焚いたり、自由にアレンジしていただけます。さりげなく香らせ、心を傾けてゆっくり味わってみてください。

お線香や円錐形のお香とは一見変わった抹香は無造作にのせたり、整えたりと自在に形が変えられるのが魅力。幾重にもかさなった香の山はオブジェとしても楽しめそうです。

中上級向けの香時計作りなどは製作するのにコツや時間がかかりますが、いにしえの文化や暮らしを身近に感じられるかもしれませんね。

粉を整えるという何気ない所作さえも、気持ちをほっと和ませてくれるよう。天然香ならではの繊細で深みのある香りと静寂を五感で感じる贅沢な時間が愛おしく思えます。

平安時代には貴族たちによって生活の中で香りを楽しむ文化が広がり、お供えだけでなく、部屋や衣装をたき込める「空薫物（そらだきもの）」や自ら調合した練香を持ち寄り、披露しあう「薫物合（たきものあわせ）」という香遊びも行われるようになったそう。

こうした香のある平安期の雅な様子は「源氏物語」や「枕草子」などにも描かれ、のちに茶文化とともには武将の大切な嗜みへと変化。江戸時代には民間へと普及、芸道の源流として今もなお大切に受け継がれ続けています。

ゆっくり立ち上る白煙は儚くも美しいアートのよう。季節が流れていく中で、香り方や感じ方もその時々なお香が私たちの心に語り掛けてきます。

TOKILABOのオリジナルブランドである【喫茶去（KISSACO）】。
「自分を想う空間を大切にできるように」と禅由来の言葉から知恵をいただきました。

心を無にして、ただ目の前の空間に向き合い、丁寧に感じる。
忙しい現代の中でほんの少しでも五感に触れて、
日常にささやかな彩りをもたらす"きっかけ"になれたら。

感性に響く道具を通じて、
心が和らぐ空間づくりのお手伝いが出来たら幸いです。